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東京地方裁判所 昭和45年(行ウ)25号 判決

東京都国分寺市東恋ケ窪五丁目一三番一〇号

原告

深野明

右訴訟代理人弁護士

新井博

新井泉太朗

東京都杉並区成田東四丁目一五番八号

被告

杉並税務署長

内藤近義

右指定代理人

森脇勝

石塚重夫

中島啓典

小宮龍雄

新庄馨

右当事者間の相続税賦課決定および加算税賦課決定取消請求事件について次のとおり判決する。

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

一  当事者双方の申立て

(原告)

被告が昭和四三年八月二八日付をもつて原告に対してした相続税決定処分および加算税賦課決定処分を取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

(被告)

主文同旨。

二  原告の請求原因

被告は、昭和四三年八月二八日原告に対し深野静の死亡にかかる相続税に関して相続税額一三、〇八六、六〇〇円の決定処分および無申告加算税額一、〇三八、六〇〇円の賦課決定処分をした。

原告は、右の本件課税処分について被告に対し異議申立てをしたか、昭和四三年一一月二六日申立棄却決定がされ、さらに東京国税局長に対し審査請求をしたところ、昭和四四年一一月六日相続税額を一一、七五八、二〇〇円、無申告加算税額を一、一七五、八〇〇円とする裁決がされ、同月一二日右裁決書謄本が送達された。

しかし、本件課税処分は違法なので、その取消しを求める。

二  被告の答弁および主張

(一)  請求原因事実のうち本件課税処分が違法であるとの主張は争うが、その余は認める。

(二)  本件課税処分の根拠は次のとおりである。

1  原告は、深野静から包括遺贈を受けた。

すなわち、静は、昭和三九年二月二三日同人が亡夫深野文左衛門から相続によつて得た全財産(主として土地)を原告に贈与す旨のる遺言書を作成し、同年四月二三日死亡したが、同人には法定相続人該当にする者がいないので、原告は、静の全財産を遺贈により取得したものである。

原告が遺贈を受けた静の財産(以下本件遺産という。)は、同人が亡夫文左衛門から同人の養子権三郎トミ夫婦(以下権三郎らという。)と昭和三〇年八月二七日共同して相続した財産のうち後記協議分割にもとづく静の取得分である。

2  被告は、原告に対して相続税の申告をしようようしたところ、原告は、本件遺産について次に述べるようなな争いがあり、その実質的な所有が明らかでないことはもとより、これを処分することもできない状態であるから、それが解決するまで申告を猶予してもらいたいと述べ、右申告のしようように応じなかつた。

すなわち、原告の主張によれば、本件遺産は文左衛門からの相続財産のうち静の取得分であるが、右相続財産(土地)に関して静と権三郎らとの間に遺産分割協議ができていなかつたにもかかわらず、共同相続人である権三郎らは、静の印鑑を無断で使用し、すでに相続財産(土地)の大部分を自己名義に書換し、静の相続分を侵害しているので、原告は静の包括受遺者として権三郎らを相手どり静の相続分の回復請求の訴を提起したところ、権三郎らはこれに対して原告を相手どり静の遺言の無効確認請求の訴を提起し、現在両事件とも東京地方裁判所において審理中であるから、右訴訟が解決するまで申告のしようようには応じられないというにある。

3  しかし、被告の調査したところによると、遺言書は、昭和三九年五月二九日東京家庭裁判所の検認を受けているから、遺言の内容および存在が確認でき、また、文左衛門が死亡した日以後の昭和三一年二月一日において静と権三郎らとの間に遺産分割協議がととのつた結果、静の相続した財産は土地一、四八八・三一坪であつた(静はこれについて相続税を申告・納付ずみ)ところ、そのうち、一三九・二一坪については、静が生前に売却していたので、本件遺産である土地は残り一、三四九・一〇坪となつた。その内訳は次のとおりである。

土地の表示 地目 地積 相続税評価額

杉並区和泉一丁目一二二番の一 宅地 三〇七・二三坪 五、二二〇、一一七円

〃 二丁目三二三番の一 〃 二八五・二八坪 六、七八二、一一七円

〃 〃 三二三番の五 〃 一二五・三八坪 二、五八二、五一四円

〃 〃 三二五番の一 〃 一九一・一〇坪 四、八一〇、三六五円

〃 四丁目一五六番の三 畑 二〇歩

〃 〃 四 宅地 八五・〇一坪 三、三六〇、八五〇円

〃 〃 五 〃 一〇一・〇八坪

〃 〃 六 〃 二三四・〇〇坪 四、〇九一、八〇五円

合計 一、三四九・一〇坪 二六、八四七、七六八円

よつて、被告は、右事実に基ついて、本件課税処分をしたものである。

三  被告の主張に対する原告の否認および反論

(一)  被告主張の本件課税処分の根拠のうち

1について

静が昭和三九年二月二三日亡夫文左衛門から相続によつて得た全財産(主として土地)を原告に贈与する旨の遺言書を作成したこと、静が同年四月二三日死亡し、同人には法定相続人に該当する者がいないことおよび本件遺産は静が文工衛門から権三郎らと昭和三〇年八月二七日共同して相続した相続財産の一部であることは認めるが、静と権三郎らとの間に相続財産に関して主張のような分割協議が成立し、本件遺産が右協議に基づく静の取得分であることおよび原告が本件遺贈によつて本件遺産を取得したことは否認する。

2について

原告が相続税法第一条に規定する相続税の税納義務者に該当することおよび被告が原告に対し相続税の申告をしようようしたことは否認し、その余は認める。

3について

遺言書が昭和三九年五月二九日東京家庭裁判所において検認されたことは認めるが、その余は争う。

(二)  本件課税処分は、次の理由によつて違法である。

1  本件課税処分は相続税法の納税義務者の解釈を誤つたものであり、原告はいまだ本件課税処分を受ける相手方ではない。

すなわち、相続税法上租税債権が成立するためには、課税財産が存在し、該財産が納税義務者に帰属するという関係が必要である。しかるに、本件課税処分の課税財産である本件遺産については、その帰属、範囲に関し原告と権三郎らとの間において前記二(二)2記載のとおり係争中であつて、その帰属は未確定であり、しかも、権三郎らがこれを占有支配しているのであるから、原告は法律上はもちろん現実になんら権利および経済的利益を得ていない。したがつて、原告は前記訴訟において勝訴してはじめて本件遺産の取得となるものと解すべきであつて、それまでは本件遺贈において遺言執行者とされた原告訴訟代理人新井博がその衝に当るのであり、原告は取得すべき財産については無能力者というべきものであるから、いまだ「納税義務者」ではない。

2  本件課税処分は、相続税法の「財産取得の時期」の認定を誤つている。

すなわち、静が本件遺贈をした当時文左衛門からの相続財産に関しては静と権三郎らとの間に前記二(二)2記載のとおりの経緯による紛争があつて、その所有権の帰属は未確定であり、しかも右財産は権三郎が占有支配していたものである。したがつて、静は本件遺言書において原告に対し「自己に帰する財産一切」を贈与したのであるが、「自己に属する財産一切」を贈与するとの静の意思は、権三郎らとの間の調停または訴訟によつて将来取得することができる財産があつたならば、その財産を贈与するというに過ぎないものと解すべきである。換言すれば、「自己に属する財産一切」というのは、遺言時における特定の財産を意味するものではなく、死亡時ないし死亡後に前記のように調停または訴訟によつて取得できるかもしれない財産一切を意味したのであるから、本件遺贈は右の財産取得を停止条件としてされたものというべきである。しかるに、静が権三郎らを相手方として申立てた遺産分割協議の調停は不調に終り、前記相続分の回復請求訴訟も未確定であつて、右条件はいまだ成就していない。そして、停止条件付遺贈における財産取得の時期は条件の成就したときであるから、原告がすでに本件遺産を取得したものとしてした本件課税処分は「財産取得の時期」の認定を誤つたものである。

3  本件課税処分は、相続税法の「相続の開始があつたことを知つた日」の意義を誤つたものである。

すなわち、本件遺言については前記のように権三郎らが無効確認訴訟を提起し係争中であつて、原告が静の遺産の受贈者であるか否かはいまだ未定であるから、原告は自己のために遺贈のあつたことを知らないこととなり、それはあたかも「認知に関する裁判」、「相続人の廃除ないしその取消に関する裁判」の確定により相続開始後に相続人となる者と同じ立場にある。したがつて、右の立場に準じ、前記遺言無効確認訴訟が原告の勝訴に確定した時をもつて原告が「自己のために遺贈があつたことを知つた日」とみるべきであるから、本件課税処分は「相続の開始があつたことを知つた日」の意義を誤つたものである。

四  原告の反論に対する被告の再反論

1  原告主張の違法理由1について

包括遺贈の受遺者は相続人と同一の権利義務を有し、また、遺言は遺言者の死亡の時からその効力を生ずるのであるから、包括遺贈は執行手続によらずして当然にその内容が実現されるものである。したがつて、原告が包括遺贈の受遺者である本件における遺言執行者は、原告から委任を受けた代理人と同じ立場にあるに過ぎないのであつて、原告は本件遺贈によつて本件遺産を当然に取得しており、納税の義務がある。

仮に、原告主張のとおり、本件における遺言執行者が本来の意味における遺言執行者であつたとしても、その職務の権限は、遺言執行者の制度の趣旨からいつて、遺言の内容を遺言者に代つて法的に実現するためのものであつて、相続税の納税義務で含むものではないというべきであり、原告は、遺言執行者の職務権限の解釈を誤つている。したがつて、被告が相続税の「納税義務者」の解釈を誤つたとの原告の主張は失当であるといわざるをえない。

2  違法理由について

本件遺言の内容は、遺言者静が相続財産のすべてを原告に遺贈し、右遺言執行者を新井博に指定するという内容のものであるから、本件遺贈には停止条件はもちろんのこと、ほかにもなんら条件が付されていないことは明らかである。

ただ、本件においては、協議分割(静と権三郎らとの間で行なわれ、右協議分割にしたがつて相続税は申告納付ずみ)について原告らが異議をとなえ、権三郎らを相手に訴訟中であるに過ぎない。仮に、右訴訟において原告の主張が認められなかつたとしても、原告の取得する遺産額は被告の決定額(協議分割額による)と同一であり、原告の主張が認められた場合においては、原告の取得遺産額は被告決定額より増加することとなる。

しかも、遺言は遺言者の死亡の時からその効力を生ずるから、原告は遺言者静の死亡のときに財産を取得しており、遺言者の死亡の時を財産取得の時としてした本件処分は適法であり、原告の主張は理由がない。

3  違法理由3について

遺言は遺言者の死亡の時からその効力を生ずるから、原告は、静の死亡により当然に相続人と同等の地位を取得し、ただ、本件のように遺言の無効確認訴訟が提起された場合、その判決の結果によつては相続人の地位を失なうこともありうるというだけのことである。これに反し、「認知に関する裁判」および「相続人の廃除およびその取消に関する裁判」による相続人としての身分関係の取得は裁判によつてのみ認められるもので、裁判の確定によつて始めて相続人となり相続財産を取得する権利を持つ者になるのであるから、遺言の無効確認訴訟を提起されている相続人と「認知に関する裁判」等の確定により相続開始後相続人となる者とは全く同じ立場にあるとの原告の主張は失当である。また、本件のような普通方式の遺言は、遺言者の死亡の時から当然にその効力が生ずることは、特別方式の遺言については家庭裁判所の確認を得ることによつて始めてその効力を生ずるという規定があるのに対し、普通方式についてはそのような規定がないことからも明らかである。

したがつて、「相続の開始があつたことを知つた日」を遺言者静の死亡の日として決定した本件課税処分は、原告が本件遺言書作成の際に同席し、遺言の存在を静の生前から知つていたことからみても適法である。

五  証拠

(原告)

甲第一ないし第五号証、検甲第一号証を提出。

検甲第一号証の深野静の作成名義部分は偽造であると付陳。

証人新井博の証言、原告本人尋問の結果を援用。

乙第一号証の一、二の原本の存在および成立は認める。

第二号証の成立は否認する。第三号証の成立は認める。第四号証の成立は不知。

(被告)

乙第一号証の一、二、第二ない第四号証を提出。

証人来住文男、同木内信雄、同深野権三郎各証言を援用、

甲号各証の成立(第二ないし第四号証は原本の存在、成立)を認める。検甲第一号証の深野静の作成名義部分は真正に成立したものである。

理由

一  深野静が昭和三九年二月二三日亡夫文左衛門から相続によつて得た全財産を原告に贈与する旨の遺言書を作成したこと、静が同年四月二三日死亡し、同人には法定相続人に該当する者がいないことおよび本件課税財産である本件遺産は静が文左衛門から権三郎らと昭和三〇年八月二七日共同して相続した相続財産の一部であることは当事者間に争いがない。

被告は、本件遺産は文左衛門からの右相続財産に関して静と権三郎らとの間に昭和三一年二月一日にされた協議分割に基づく静の取得分であり、したがつて、本件遺贈により原告が取得したものであると主張し、原告はこれを争うから、先ず、右の点について判断する。

証人深野権三郎の証言によつて深野権三郎および深野トミの作成名義部分は真正に成立したものと認められる乙第二号証、成立に争いのない乙第三号証、証人木内信雄の証言によつて真正に成立したものと認められる乙第四号証および証人来住文男、同木内信雄、同深野権三郎の各証言を総合すると文左衛門からの前記相続財産は主として土地であつたところ権三郎は被告の担当調査官から右相続財産に関して相続税の申告をしようようされ、静の希望をも容れたうえ、相続財産について評価額においてその三分の一以上にあたる他に賃貸中の宅地を静に、その余の農地等を権三郎らに分割することとし、昭和三一年二月一日その旨の遺産分割協議書(前掲乙第二号証)を作成して静の調印を得、遺産分割協議が成立したこと、静らは右協議に基づいて取得した土地についてそれぞれ相続税の申告をし、静は右土地の一部をそのころ他に売却した代金をもつて右相続税を納付したこと、また、静はその後も右土地の一部を賃借人に売却し、その死亡当時本件遺産がその所有として残つていたものであることが認められる。

もつとも、原告本人尋問の結果によると、静は死亡する前二か月くらいの間原告方に寄寓していたのであるが、当時原告に対し遺産分割協議書に調印した記憶がない旨述べていたことが認められる。しかし、そのころは前掲乙第二号証の作成日時からすでに八年を経過し、しかも、原告本人尋問の結果によると、静はそれまで生活を共にしていた権三郎方から家出し、同人と不和の状態にあつたことが認められるのであつて、これらのことから考えると、静の前記陳述はそれ自体たやすく信用することができない。また、前掲乙第二号証と同じく静と権三郎らとの間の遺産分割協議書と題されている検甲第一号証は、その記載によると右乙第二号証と作成日付および分割協議の内容が一致していないけれども、証人深野権三郎の証言によると、検甲第一号証は、権三郎らが前記認定の遺産分割協議によつて取得した土地について自己名義に所有権移転登記をするにあたり、前掲乙第二号証に基づき分割された土地からその後各人において他に処分した土地を除外してその作成日付ころあらたに作成したものであることが認められる。したがつて、これらの事実はいずれも前示認定をくつがえすに足りず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

しかして、遺贈は遺言者の死亡の時に効力を生じ、特定物についてはその所有権は当然に受遺者に移転するのであるから、以上の事実によると原告は本件遺贈によつて本件遺産に関し所有権を取得したものと認めることができる。

二  そこで、進んで原告主張の本件課税処分の違法理由の存否について判断する。

(一)  違法理由1について

相続税法上租税債権の成立要件としては、納税義務者において相続等の所定の理由によつて課税財産を取得することが必要であり、かつ、それをもつて足りるものと解すべであるから、課税処分時において右の取得が判決等をもつて無効と確定されている場合には課税しえないことはいうまでもないけれども、取得の効力について他と争いのないことはないし取得の有効であることが判決等をもつて確定していることまでをも必要とするものではないというべきであるし、また、納税義務者が有効に課税財産を取得した場合には、右財産を納税義務者が現実に占有ないしは使用収益しているか否かを問わずに課税しうるものというべきである。したがつて、本件において遺産分割協議および遺贈の効力に関して共同相続人間に争いがあつて訴訟が係属中であり、あるいは原告が本件遺産を占有していないとしても、原告は、前示のとおり本件遺産の所有権を取得したものである以上、相続税法上課税財産の取得者の地位にあるといわなければならないから、原告が前記訴訟に勝訴してはじめて取得者となるとのことを前提とする原告の違法理由1の主張は、その前提において失当といわざるをえない。

(二)  違法理由2について

本件遺贈が包括遺贈であることについては原告の明らかに争わないところであるが、包括遺贈においては遺言者の死亡と同時にその一切の権利義務が受遺者に当然に移転するものであつて、このことは所有権の帰属に関して訴訟が係属中で遺言者にとつて遺贈の対象とすべき財産が不明確なために遺言書において右財産が個別的に特定されていない場合であつて消長をきたすものではないというべきである。ただ、右のような場合には、遺産の帰属、範囲は客観的には既定の事実であるにしても遺言者にとつては不明確であるために、遺言者としてはその判定を判決に委ねるよりほかないものであるから、その意思も「自己に属する財産を贈与するが、自己に属するか否かの判断は判決に委ねる」という以上には出ないものと解すべきである。したがつて、仮に遺言書に「将来判決によつて自己に属するものとして確定された財産を贈与する」旨を明記したとしても、それは無限定に「自己に属する財産を贈与する」というのと同義に帰し、その意味ではいわば当然の事理を宣明したに止まり、そのことを捉えてことさら、包括遺贈の効力の発生を判決の確定という将来の不確定な事実の成否にかかわらしめたものと解する余地はないものというべきである。

原告の違法理由2の主張もその余の点について判断するまでもなく失当といわなければならない。

(三)  違法理由3について

「認知の裁判」または「相続人の廃除ないしその取消の裁判」による相続人としての身分関係の取得は、当該裁判の確定によつてはじめて生ずるのであるから、右の場合には、当該裁判の確定したことを知つた日をもつて相続税法上の「相続の開始があつたことを知つた日」と解するのが相当というべきである。これに対し、包括遺贈においては前示のように遺言者の死亡と同時にその一切の権利義務が受遺者に移転し、たとえ遺言の効力に関して争いがあつて訴訟が係属中であつても、相続税法上租税債権の成立を妨げないものであることは前示のとおりであるから、前者と同一に論ずることはできない。すなわち、包括遺贈に関しては、右のような係争中の場合をも含めて、自己のために包括遺贈のされていることおよび遺言者の死亡したことの両者を知つた日をもつて「相続の開始があつたことを知つた日」と解すべきである。

原告の違法理由3の主張も失当といわなければならない。

三  よつて、本件課税処分には原告主張の違法が存しないから、原告の本訴請求を棄却することとし、訴訟費用負担の裁判について民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高津環 裁判官 内藤正久 裁判官 佐藤繁)

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